ゼロからの Aras Innovator 番外編 〜 ビジュアルコラボレーション 〜

前回予告した通り、今回は少し寄り道して、Aras 11 で新規導入された「ビジュアルコラボレーション」について、その概要をご紹介します。ビジュアルコラボレーション、デモを観たことはあるけれど今ひとつピンときていないという方にも、是非読んで頂けたらと思います。

ゼロからの Aras Innovator 掲載予定

なお、一点だけお断りを。
今回の記事ですが、弊社マーケティングからのメッセージとは切り口やキーワードが若干異なる部分があります。あらかじめご了承ください。

弊社では、お客様プロジェクトの管理を Aras Innovator を使って(もちろんビジュアルコラボレーション機能も使って)行うことがあるのですが、今回の記事は そういった実利用を通して感じた 一ユーザの声とお考え頂ければと思います。

※ あえて色分けするなら、弊社マーケティングからのメッセージは企画部門や上位役職者向け、今回の記事は実利用者向け、となるでしょうか・・・。

 


解決する課題

ビジュアルコラボレーションは、一般企業(特に大企業)における担当者間・部署間のコラボレーションにまつわる「よくある課題」に対し、「コミュニケーションプラットフォーム」「ビジュアル」「コンテキスト(文脈)」「セキュア」の4つのキーワードで解決策を提示しています。

解決する課題

 


1. コミュニケーションプラットフォームの提供

皆さん、同僚やビジネスパートナーとのコミュニケーションに何をお使いでしょうか? もちろんフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが一番だとは思いますが、関係者が多くなったり物理的な距離が離れたりするとどうしても電子的なオンラインコミュニケーションに頼らざるを得なくなります。そうしたオンラインコミュニケーションのツールとして何をお使いでしょうか?

定番は電子メールかと思います。その他、課題一覧などのExcelファイルやインスタントメッセンジャー、あるいは掲示板やWikiなどもサーバを立ち上げて使っているかもしれません。いずれにせよ、PLMシステムの外でコミュニケーションを行うことがほとんどではないでしょうか?

その場合、以下のような事態に往々にして陥りがちです。

  • 色々なツールを使い分けなければならず、どこを見れば欲しい情報に辿り着けるのか分からない。場合によっては、古い情報、間違った情報を見てしまう可能性もある。
  • 「なぜそうなったのか」の背景情報が「当時の」関係者にしか分からない。
    • 結果情報は図面や文書としてPLMシステム内で共有されているが、その結論に至った背景情報は当時の関係者のメールボックスの中・・・。途中から配属された人にはチンプンカンプン。「ここ、もっと薄くしても強度は十分だけど・・・何でこうなってるんだ? 薄くしてもいいのかな?」
  • 何が最新の決定事項か分からない。
    • どれが最新の課題一覧ファイルだっけ?
    • 途中からメールがCCされなくなった・・・。
    • 結論が記載されたメールが、メーラーの検索機能でなぜかヒットしない。(これ、個人的に最近悩まされています・・・)

ビジュアルコラボレーションは、PLMシステム内に気軽なコミュニケーションを行う場を用意することで、これらの問題に解決策を提示しています。

見た目や使い勝手も今流行りのSNSと非常に似通っていますので、すごく取っ付き易いのではないでしょうか。

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2. ビジュアルツールによるコミュニケーションの促進

コミュニケーションする場が用意されても、言語化された文字情報だけでしか情報のやり取りができないとするなら、コミュニケーションに面倒臭さが付きまとってしまい、やはり活発なコミュニケーションには至らないのではないでしょうか? 文字情報で伝えられる内容にも自ずと限界があります。それを補うために画像ファイルや動画ファイルを添付するにしても、ひと手間もふた手間も掛かってしまうため、やはり億劫です。

ビジュアルコラボレーションには、PLMシステムで登録されているファイル(ドキュメントや3Dモデル等)に対してハイライトやバルーンなど、ビジュアルなコメント/メッセージを残すための機能が豊富に用意されています。これらを使うことで、内容確認→コメント付記の流れがスムーズかつ自然に実現されます。

ビジュアルツールによるコミュニケーションの促進

Windowsタブレット向けのアプリ「Aras Flow」も用意されていて、それを使うと動画やスケッチなどもその場で簡単に登録可能です。

Aras Flow

 


3. コミュニケーションコンテキスト(文脈)の記録と様々な軸でのストーリー確認

メールでのコミュニケーションの場合、一つの主題 ── 例えば製品X ── に関連するやり取りを全て引っ張って来ようと思っても、それだけで一苦労です。メール文面にキーワードが入っていれば何とかなるかもしれませんが、確実性は低いと言わざるを得ません。
特に、構成部品や関連文書のやり取りなどもヒットさせたい場合や、リビジョンBリリース時点の構成でそれらを引っ張ってくるなどの時間軸指定が入った場合などは、もうお手上げです。

ビジュアルコラボレーションは、見た目から連想されるような単なるチャット機能/掲示板機能ではありません。各メッセージには、そのメッセージのコンテキスト(文脈)となるアイテムが必ず付随されます。時間軸を表す世代情報とともに、です。

ですので、

  • リビジョンBリリース時点の構成に基づいて、製品Xに関連するやり取りを、構成部品や関連文書に関するやり取りも含めて時系列で確認する

といったことが簡単に実現できます。

コミュニケーションコンテキスト

また、これのみならず、

  • 製品Xの構成部品AやBのやり取りを、設計変更の切り口で一括確認する
  • 製品Xのやり取りを、受注の切り口、あるいはその受注先の顧客の切り口で確認する

といったことも可能です。

これは、PLM内にリレーションシップ情報が蓄積されているからこその機能と言って良いでしょう。
一般のSNSツールとの大きな違いとなります。

様々な視点でのストーリー

 


4. コンテキストアイテムのパーミッションに基づくセキュアなアクセス権制御

メールでのコミュニケーションの場合、情報の共有範囲はメールの送信先によりコントロールすることになるかと思います。送信先の選択は基本的には送信者の判断次第ですし、前述したような「必要情報が当時の関係者のメールボックスの中にしか存在しない」という事態にも陥りがちです。

ビジュアルコラボレーションでは、メッセージの閲覧範囲をコンテキストアイテムのパーミッションにより制御しています。担当が変わってアクセス権が付与されれば、今まで閲覧できなかったコメントが見えるようになります。
新任の担当者でも過去の経緯を踏まえた対応が行えるようよう、必要十分な情報が提供されます。

 


以上、4つのキーワードについて一通り見てきました。
1つ目・2つ目の「コミュニケーションプラットフォーム」と「ビジュアル」が見た目にもインパクトがあるため目立ちがちですが、個人的には3つ目の「コンテキスト(文脈)」が最も重要なキーワードではないかと考えています。あと、コンテキストに基づいたアクセス権制御を表す「セキュア」。この2つが、他のコミュニケーションツールと一線を画す重要なキーワードとなってきます。

今回は少し脱線して、ビジュアルコラボレーションの概念的な部分のご紹介をしました。
もう少し踏み込んだ機能的な紹介については、 こちら を是非ご覧ください。正式なマーケティングメッセージも掲載されております。

次回は元の流れに戻って、「リレーションシップの設定方法」をご説明したいと思います。ご期待ください。
それでは、また次回。
 
(アラスジャパン 宮内一也)