そのライセンス費用高すぎないか?②

◆クラウドサービスのPLMシステムを使う場合の落とし穴

クラウドシステムの一番のメリットはハードウエアやソフトウエアを用意しなくてもすぐに利用することができる点です。

このメリットは大きく、システムの構築期間を短縮できるだけでなくシステムの保守や運用もクラウドサービスに任せる事ができます。また内部統制上、新規のハードウエアを導入するのが困難な場合などもこの手のサービスを使うメリットと言えます。

少し前までのSaaSやクラウドサービスのシステムは、どのユーザにも同じ機能のみを提供していましたが、最近のものはある一定の範囲であれば個別に属性を持たせたり、個別プログラムを実行したりすることができます。

PLMシステムとしてクラウドサービスを有効に活用できる場面としては、取引先や外注先との間のドキュメントをやり取りが一般的です。

システムではもちろん部品構成も管理できるので、パーツにドキュメントを関連付けたり、ドキュメントとして設計変更を運用することができます。

かつては設計情報を外部のホストにあずけることに一抹の不安が有りましたが、今日ではセキュリティーに関しても技術的にはクリアされています。

クラウドサービスのデメリットとしては3つ上げられます。

一つ目は、サービスをやめると過去のデータが使えなくなる点です。

短期間のデータを蓄積するだけでよければ問題有りませんが、設計情報のデータは多くの場合、長期間保管しなければいけません。

製品のライフサイクルが短いからといって簡単に過去のデータを消去するわけにはいかないからです。

営業日報や会計データのようにある期間を過ぎてしまえばほとんど見直さないデータの場合は問題有りませんが、設計情報データはそうは行きません。

このためクラウドは簡単に利用できますが、その中で管理されている情報をいかに企業の中に蓄積していくかもあわせて検討しておく必要が有ります。

2点目は回線スピードです。

CRMシステムやERPシステムではテキストベースのデータなので問題有りませんが、PLMシステムではCADの3次元モデルデータなど大きなサイズのデータを扱います。

CADデータなみのサイズのデータを瞬時に送ることができない今日の技術では、クラウド上で扱うデータ種別を絞り込んでおく必要があるでしょう。

3点目は、業務システムとして運用する場合、相互にデータを流通させる必要が有ります。

会計システムのデータを生産管理システムやPLMシステムで使いたいといったニーズは必ず出てきます。

PLMシステムの性格上、プロダクトのライフサイクルの各工程に適切なデータを渡してあげることが望まれます。

クラウドサービスでPLMシステムを使う場合は、単機能システムとして割り切って取り扱った方が無難と言えます。

また、以外と見落とされがちなのが、システムのアップグレードに関する対応です。

システム資産を一括でベンダーに任せているクラウドやSaaSの場合、システムアップグレードの自由度はベンダーに依存することになります。

専用環境で利用している場合は良いのですがマルチテナントで利用している場合、システムのアップグレードはベンダーに依存していしまいます。

システムは業務の成熟度にあわせて成長させないと、業務改善の足かせになることも有ります。

このような点がクリアにされているかをクラウドサービスを選択する場合の検討ポイントとすると良いでしょう。

-久次 昌彦-